彼女と僕の伝奇的学問 / 水沢あきと

彼女と僕の伝奇的学問 (メディアワークス文庫)

「他の人のために、自分一人が犠牲になるなんていう考えは間違っている!」

メディアワークス文庫から『彼女と僕の伝奇的学問』です。

前作の不思議系上司の攻略法とは打って変わって、今回は伝奇物。

村に代々続いた神事。
その神事には秘密があり、伝統を守るために影で犠牲になる人がいた。
その事実を他所のものである主人公たちが偶然知り、解決するという、このジャンルの王道展開でしたが、こういう古くから村に伝わる風習の話はどうも好きになれない…。

というのも、作中にも語られているとおり、第三者が勝手に村の伝統に介入していいのか?という問題です。
もちろんこんな時代に誰が犠牲になるような伝統が続いてるのもおかしいし、止めるのが正しいと思うけど、本当にそれでいいのか?という葛藤から逃れられない。
今回はたまたま、あんな事情があったから解決できたけど、もしそんな都合のいい事実がなかったら、あんな円満解決などしなかっただろう…。
あまりにも都合良すぎたせいか、こうモヤッとしたものが残って不完全燃焼でした。

それはそれとして、今作は前作と比べてヒロイン候補が多く、恋愛方面では楽しめそうな物語だと思いました。
七海と桜花どっちが、主人公の彼女になるか楽しみ。