僕は友達が少ない CONNECT / 平坂読

僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)

「……それでも、俺は本当の友達に巡り会いたいと思うけどな」

MF文庫Jの12月の新刊から『僕は友達が少ない CONNECT』です。

羽瀬川小鷹ではなく、他のキャラクター達の視点で語られる物語は、これまで話の舞台裏。
夜空視点で見る小鷹転入時の話から始まり、小鷹の父と母が出会った話など盛りだくさん。
これまでの話とこれからの話を繋ぐ、まさにコネクトという名に相応しい短篇集でした。

中でも特に印象的だったのは理科が語り部のエピソード『クオリア/もう一つの動き出した時間』。

小鷹と出会う前の理科の諦観っぷりは行き過ぎな気がした。
そんな彼女が小鷹と出会い、変わっていく姿がはっきりとわかる構成となっているのがとても良かった。

「友達ができました」と答えることができる彼女の変化は、心に来るものがある。
人が成長していく話が好きな私にとって、このエピソードは本当ストライクすぎた。

この後に続く『手を取れるように』も破壊力が高い。
改めて、8巻での彼女の大立ち回りを読み返したくなる。
あとがきでも、もはや主人公の風格とか書かれて思わず笑った。

そんな彼女と彼の青春シーンを覗き見てしまった夜空さん。
彼女の行動はわからなくもないけど、あんなメールを送ってしまうということは探して欲しいって言ってるようなもんだと思うんだけど…。
あとがきを読む限り、次巻では復活するらしいけど、やっぱり不安。

次の巻も楽しみです。