のうりん 5 / 白鳥士郎

のうりん 5 (GA文庫)

「私たちはただ『肉』を作っているのではなく、『牛』を育てているのだから」

農業高校を舞台にした学園ラブコメのうりん』、第5巻です。

今回のテーマは畜産。

ガンダムのパロネタを交えつつ、農業技術を解説させるやり方はやっぱり上手い。
いつもどおり笑いを交えつつも、話が進むうちにだんだんと重い内容に。

普段何気なく食べてるお肉。
おそらくほとんどの人が気にしていないと思うけど、命を頂いてるんだなと本書を読んで気付かされました。

牛を育てるために必要な穀物が、どれだけいるかなんて初めて知った。
そしてそのために、世界でどんなことが起きているのかも…。
だからと言って私たちは肉を食べることを止めることができないだろう。
最後のシーンの胡蝶のセリフはとても重く心に響いた。

「医者は救うために命と向き合いますが、私たち農業従事者は奪うために命と向き合います。奪うために増やし、育てるのです。そのことを辛く思わない日はありません。」

「いただきます」という言葉の意味を私たちはもっとよく考えるべきなのかもしれません。


改めてこのラノベの凄さを実感しました。
パロディの満載ではっちゃけてるところも多いけど、それを補って余りあるくらい農業について真剣に語ってる。
なれるSEもそうだけど、普通の学校では学ぶことができない職業の話は本当面白いですね。
もっとこういう系統のラノベ増えればいいのに。

次回のテーマは『国際化』ということで帰って来た留学生ナタリーがいろいろ騒動を巻き起こす感じなのかな。
継とおっぱいさんの仲に嫉妬する耕作だけど、君の方がモテモテだと思うんだ。
農と林檎を交えた恋愛バトルがまた激化しそう。