なれる!SE 7 目からウロコの?客先常駐術 / 夏海公司

なれる!SE (7) 目からうろこの?客先常駐術 (電撃文庫)

「いいですか桜坂さん、私たちはプロです。プロとは能力・作業に対し正当な対価を要求するものです。費用対効果や人間性を無視された挙げ句、言われるがまま扱き使われるなんてまっぴらです」

なれる!SE」7巻『目からウロコの?客先常駐術』です。

今回のテーマは『客先常駐』。
今回取り上げられた事例はかなり酷い例だといいたいけど、全部否定できないところがこの業界のすごいところ。

SI案件といったらほぼこれだど思っていいとくらい、顧客先常駐ばっかりです。
でも、このエピソードの事例みたいに、入室前に持ち物を回収までやってるところは多くないです。
ここまで厳しいのはごく少数。

破綻してる炎上プロジェクトに応援メンバーとして送り込まれることは、ままあります。
特に他の仕事がないときなど、他の部署のデスマプロジェクト送りされたあげく、後日その部署に異動とかね…。
部門の都合とかいろいろあると思うけど、異動までされると売られたんだなって思いますね。


話は変わりますけど、梢さんのストーカーっぷりが悪化してて面白かった。
イラストの目の色とか完全にヤンデレそのもの。
ナイフとフォークで何をするつもりだったんだろう…。

そんなヤンデレさんでも、仕事に対する意見は正論でした。
それでも発注された側としては、仕事をこさないといけないところが辛いところ。
でも、逃げれるときに逃げないと、壊れてしまうのも事実。
この話のように上手く逃げられるのは奇跡といっていい。

しかし、ここまで酷い発注元もなかなかいないと思いたいな。
これ以上赤字にしたくはないとはいえ、残業まで認めないのはちょっとブラックすぎる。
社内政治まで絡んでくると、話は余計に複雑になりますね。
上司との飲みの席で幹部社員の政治の話を聞くことがあるけど、その内容は結構引きます。
人として明らかに終わってると思う人がなんで出世してるんだろう…とか思えるエピソードもあったり。
世の中わかりません。


あとがきの入退室カードのエピソードには笑ってしまったけど、よく考えたら笑えない。
そういう笑えないことが、時として普通に起きてしまう異常なIT業界。
なんでまだこの業界で仕事してるのかわからなくなってきた。

改めてこの業界のブラックさを再確認できるエピソードでした。