遠まわりする雛 / 米澤穂信

遠まわりする雛 (角川文庫)

「それなら、千反田。何か状況を一つ出してみろ。そう簡単に理屈をくっつけるなんてできないと証明してやる」

氷菓』アニメ化記念、再読四冊目。
古典部シリーズの4作目『遠まわりする雛』です。

表題作を含む、7編からなる短篇集。
文化祭前の話が3編、以降の話が4編となってます。

短篇集だけあって、日常の謎を存分に楽しめる内容でした。
どの話も面白いけど、そのなかでも好きなのは、『心あたりのある者は』と『遠まわりする雛』の2編。

前者は、たったひとつの校内放送から当初の目的を忘れるくらい熱中してしまう、奉太郎と千反田がいい。
あまりにも仲が良すぎて、ふたりの姿を想像するとなんかにやけてしまう。

遠まわりする雛では奉太郎と千反田の関係がこの一年で大分変化したのがわかって良かった。
奉太郎自身、ようやく自身の気持ちに気づいたらしく、なんだかにやにやしてしまいます。

里志と摩耶花、奉太郎と千反田のこれからの関係を見守りたくなる一冊でした。