VS!! ―正義の味方を倒すには― / 和泉弐式

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)

「素直になりなよ、21号。勝ちたいんだったら、勝とうとすればいい。したいようにすればいいんだ。だって君は悪の組織の戦闘員だろう?」

1月の電撃文庫の新刊から『VS!!―正義の味方を倒すには』です。

ヒーロー物に出てくる悪の組織の下っ端戦闘員にスポットを当てた話なんですが、超熱い!
命をかけた彼らがみせてくれたその生き様に心を打たれて気づいたら涙がこぼれてました。

怪人をサポートするいわば、捨て石のようなホムンクルス戦闘員。
毎度、ヒーローたちを倒すぞと向かっていくものの、ヒーローを倒すことはおろか、怪人を守ることもできない。
彼等は戦ってそして死んでいくために生まれた存在だった。

そんな戦闘員のひとりである主人公は、どうあがいてもヒーローに勝てるわけないんだから、戦闘員は生き残れば勝ちだという、変わった考えをもっていた。そんな彼が、普通の怪人とは違った考えを持つ史上最強の怪人『ジャバウォック』と出会ってから物語が動き出します。

読んでいくうちに、いつのまにか惹きこまれている私がそこにいた。
後がないところまで追い込まれた、戦闘員達が一矢報いようと必死に頑張る姿には本当心を動かされた。強者が圧倒する物語も好きですが、この物語のように弱者が強者に立ち向かっていく物語もいいですね。

彼らの物語は始まったばかり。
ぜひとも続きが読みたいです。