トカゲの王 2 ―復讐のパーソナリティ (上) / 入間人間

トカゲの王 2―復讐のパーソナリティ (上) (電撃文庫 い)

「物事を正しいとか、間違っているという物差しで判断しているかいけないのよ」
「じゃああんたの物差しは、なんだ?」
「許せるか、許せないか」

電撃文庫1月の新刊から『トカゲの王』の2巻です。

右眼を失ったトカゲ、右腕を失ったナメクジ、第三者と視点を変えて物語が進んでいくのは前回と同様。
あらすじとは裏腹に混沌な展開で、最後まで話がどう転んでいくか予想できなかったです。

今回はもう一人の主人公、ナメクジさんの暴れっぷりがすごかった。
巣鴨への復讐に取り憑かれた彼女のバーサーカーっぷりは必見。
利き腕を失ったとは思えない強さでした。
復讐を糧に生きているとはいえ、人はあそこまで狂気をまとえるものだろうか…。

あんなのに追い掛け回されても、平然としてる巣鴨も異常すぎる。
その巣鴨は今回はあまり絡んできませんでしたが、下巻ではなにかやらかしそう。
思考が読めないせいか、何をするかわからない怖さがあります。


そんな巣鴨に目をつけられたトカゲ。
外に出るのは怖がっているものの、宗教団体の教祖をやってる少女『シラサギ』を潰すことは計画していたり。
臆病な割に、拉致を仕掛けてきた相手を上手く騙しきったりと、成長っぷりが感じられました。
予想外のことに巻き込まれるくせに、意外と上手く切り抜けられたりと、しぶといです。
無能力である彼が今後どう道を切り開いていくのは気になります。

今回は新たに心が読める超能力者が登場しましたが、今後は超能力者を巡った話になっていくんですかね?
二転三転する物語が下巻でどう決着するか楽しみです。