トカゲの王 4 ― インビジブル・ライト ― / 入間人間
「…責任は、己の内側にしかないから」
どんな展開になるか予想ができないところがいいですね。
シラサギさんとトカゲの絡みも面白かったけど、バーサーカーの彼女もまた酷い運命を歩まされてます。
追ってくる殺し屋を退けてたら、業界最強の殺し屋の一角を担うミミズさんが刺客として送られてるきて、無名の殺し屋も有名になったものだ。
人差し指しか操ることできないミミズさんの超能力ですけど、思ってる以上に強烈な力。
地味だからこそ、応用したときの効果が半端ない。
読んでようやくあのじいさんの強さがわかりましたよ。
そんな強敵相手に逃げても、そのまま逃げ続けるというわけではなく、再戦してしまうところが、ナメクジ姉さんのすごいところ。
あそこまで追い詰めることもできたのもすごいけど、その後の展開も強烈。
復讐心ってすごいね。
トカゲくんとナメクジ姉さんを比べると、目的を達成するためのエネルギー(熱量)が全然違いますね。
トカゲくんも頑張ってはいるんだろうけど、ナメクジの原動力と比べてしまうとやっぱり弱い。
彼ラスボスであるシラサギと普通に会話しちゃってるし。
一応、彼も教祖様っぽいことはやり始めたけど、今のままじゃ彼がシラサギの域にまでいけるとは思えないな。
ただ悪運が強い子供でしかない。
カワセミとやりあっていた一巻の方がまだ凄かった気がする。
それにしても巣鴨と関わった人って本当不幸になりますね。
血縁者に超能力者がいるとはいえ、一般人だった彼女が覚醒しちゃうのは予想外すぎた。
彼女もまた数奇な運命を辿ることになりそうですね。
何が悪いって、運が悪いとしかいいようがない。
5巻はどんな展開になるのやら。
天鏡のアルデラミン 2 / 宇野朴人
「では逆に、きさまの面目が潰れるのはどのような場合なのだ」
「ああ、うーん、それは――」
「――言いたい時に言うべきことを全部言えず、守りたい時に守るべきものをきちんと守りきれなかった。そんな場合じゃないかな」
北に配属された騎士団の面々。
楽な地方に配属されたはずが一点して、内戦に…。
後方支援だけ任されるはずが、いつしか前線に出ることに…。
電撃文庫11月の新刊『天鏡のアルデラミン』の2巻です。
作者自らがあとがきで、『アルデバラン』、『アルデミラン』とかタイトルをネタにしてて笑った。
1巻は演習でしたが今回は訓練ではなく実戦。
1巻でも集団戦が見事に描かれてましたが、2巻も変わらず軍隊の進軍の様子が見事に描写されていてすごく惹きこまれました。
部下が優秀でも上司が無能だと、現場はキツイですね。
これはいつの時代も変わらない。
イクタやヤトリが優秀でも、あくまで指揮できるのは自分達の周りの部隊だけ。
上官の戦術ひとつでこうも味方の被害状況が変わってしまうとは…悲劇としかいいようがない。
無能な上官についたばかりに死んでしまう部下達は報われない、イクタが怒りに震えるのもわかる。
彼等の手がおよばないところで人が死んでしまうところは悲しかった。
人の命がこうもあっさりと、まさに駒のように死んでいく様子は正直怖い。
最後に大勢は決したものの、そこまでの過程が酷すぎる。
イクタが言うようにこれを勝利と言えないですね。
ようやく一息つけると思ったのもつかの間。
最後の展開は一難去ってまた一難とはまさにこのこと…。
消耗し切った状態からの撤退戦は想像以上に厳しいと思う。
彼等が無事でいられるのか
3巻がすごく楽しみ。
ソードアート・オンライン プログレッシブ / 川原礫
「元ベータテスター、だって? ……俺を、あんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」
電撃文庫10月の新刊、「ソードアート・オンライン プログレッシブ」です。
1巻でさらりとクリアされてしまった、アインクラッド編。
あらためて1層から順番に攻略していくというコンセプトの本シリーズ。
今まで読みたいと思っていた、キリトとアスナの冒険譚が読めて大満足。
じっくりとボス攻略していく内容がとてもいい。
また、それ以外にもそれぞれの話にテーマがあるのがいいですね。
「星なき夜のアリア」では、「ボス攻略レイド(集団戦闘)」
「儚き剣のロンド」では、「強化詐欺」
MMOを語る上では欠かせない内容をより一層踏み込んだ形となっていました。
このシリーズのなにより魅力はアスナとキリトのコンビによる冒険。
本編だと二人で一緒に攻略してるシーンがほとんど無いのですが、本シリーズではこれでもか!といくらい二人一緒に行動してるのでキリトとアスナの二人が好きな人には堪らないものになっていました。
それにしても、殺人ギルド「ラフコフ」がこんな序盤から暗躍してたとは思ってなかった。
まだ直接のPKには至ってはいなかったものの、PKを容認する空気を作るために、情報を流したりと普通とは違う思考の彼等の行動は本当読めない。
アリアでキリトさんを追求し、ロンドでもはじめに声を荒げたダガー使いの彼はきっとラフコフの幹部の彼かな。
今後あるであろう、ラフコフとの戦いが今から楽しみ。
あとがきによると、既刊作品といくつか矛盾はあるものできる限り修正していきたいとのこと。
どうやってつながっていくか楽しみですが、本シリーズの刊行ペースは年に1冊とのことで、短編の話に行くまででも相当な年数が掛かりそうです。
次は第三層攻略編の「黒白のコンチェルト」。
来年になるとは思いますが、今から楽しみです。
雪の翼のフリージア / 松山剛
「たとえ、この国が買えるほどの大金であろうと……っ!」
「私という人間の誇りは、決して買うことができないのよ!」
「雨の日のアイリス」の著者が贈る最新作『雪の翼のフリージア』です。
翼を損傷した少女が義翼をつけて、再び飛翔するというお話。
読者に対して義翼屋のガレットの正体が早々にバレされてしまったのは、丸わかりだったのからなのかな…。
何も知らないフリージアが事あるごとにオスカーをの名前を出すたびに、早く気づいて!と何回も思ってしまった。
ライバルのグロリアとはグランルーラの優勝を争うだけではなく、ガレットとの仲まで争うことになるとは思わなかった。
中盤、任務のためにグロリアと絡むガレットを見てから、身を引こうとするフリージアは健気で可愛かった。
最後の最後でようやく素直になってくれて良かった。
恋愛の方の決着はラストのあの流れから想像するしかないですね。
なんかボカされた気がしますけど、上手く言ったに違いない。
この巻で終わりなのが少し残念ですが、次の作品もまた楽しみです。
魔法科高校の劣等生 7 横浜騒乱編 下 / 佐島勤
「悔しいという気持ちを持ち続けることができるのであれば、きっといつか、成し遂げることができると思いますよ
電撃文庫9月の新刊「魔法科高校の劣等生」7巻『横浜騒乱編 下』です。
この巻は上巻と比べると、加筆修正は少なかったかな。
前回同様、摩利先輩が活躍しているシーンが増えたくらいしかわからなかった…。
それにしても達也の周りは、高校生とは思えないですね。
劣等生の烙印を押されている、二科生の方が戦闘では活躍してるのがまた面白い。
一科生と二科生のクラス分けが以下に無意味かよくわかる。
しかしそれにしても、みんなあっさり人を殺しますね…。
戦争だから躊躇ったら自分が死ぬとはいえ、ろくに戦闘経験も積んでないと思われる生徒があっさりと人殺ししてしまうのは、若干違和感を覚えた。
今回の生徒無双も派手で面白かったのですが、やはり一番は達也の活躍ですね。
一瞬で治癒してしまうあの力に加えて、超遠距離からの攻撃。
あそこまで強すぎると、もう笑うしかないですね。
この日を境に、魔法師の世界がどのように変わっていくか楽しみ。
楽聖少女 2 / 杉井光
「ここまで言ってわからないのかい、きみに芸術家ゲーテの魂が欠片でも残っていればあり得ないんだよ、満たされるなんて!」
ユキと脇役との会話が相変わらずおもしろい。
陛下とのやりとりなんて完全に漫才。
ロシア皇帝のアレクサンドルもはっちゃけたキャラだったのに顔見せだけだったのが残念。
次あたり再登場しないかな。
一人で無双しちゃうナポレオンもハイドン先生バリの脳筋キャラかと思っていたら、思いのほか真面目で重いキャラだった。
彼の事情はユキよりも込みいっていて、今後もどう関わってくるか気になりますね。
メフィは思ってた以上に悪魔でした。
ターゲットはユキがだけじゃなかったとか、予想外すぎる展開でした。
芸術家の本質を知っている彼女からしてみれば、今回の状況はさぞ美味しかっただろう。
創るということに終わりはなく、創り終えてもまた新しい作品を産み出し続ける彼等に終わりは来ない。
逆にいえば、どこかで満足してしまえるような人を芸術家とは呼べないのだろう。
未完成な曲でもその魂の篭った演奏で感動させてしまうのは流石ベートーベン。
そういう意味でまだまだ芸術家になりきれていないユキの弱気な行動には少しイライラさせられた。
でも、決めるところで決めちゃうところはさすが主人公でした。
本来の歴史から徐々にズレて来てるのも気になりますが、一番気になるのはゲーテのユキとベートーベンのルゥのふたりの仲。
ユキはもう少し、ルゥに対する言動を気をつけないととんでもないことになりそう。
いやもうすでになり始めてますね。
ユキの無自覚っぷりは罪だと思う。
この先、ふたりがどんな物語を紡いでいくか楽しみです。
僕と彼女のゲーム戦争 4 / 師走トオル
「それでもなにか言いたいことがあるのなら、言葉ではなくレバーで語なさい」
電撃文庫9月の新刊、『僕と彼女のゲーム戦争』の4巻です。
今回は格ゲー「ストリートファイター4 アーケードエディション」のみ。
作中でも触れてますが、初心者が上級者にまず勝てないジャンル格ゲー。
私がもっとも苦手とするゲームのジャンルでもあったり。
格ゲー初心者だった岸嶺ですが、プロゲーマーから指導を受けたにしても、あそこまで飲み込みが早いとか、やっぱり彼のゲームセンスは異常。
純粋にゲーマーとして彼のセンスが羨ましいです。
女の子のゲーマにボコボコにやられて凹まずに特訓し、しっかりリベンジする展開はご都合主義的だけど、熱くて良かった。
それにしてもプロゲーマーまで女の子にしてしまうのは流石。
ライバルも女の子なのはやっぱりラノベだなという感じですね。
次は合宿ゲーム大会ということで、いろんなゲームが登場しそうで楽しみ。