万能鑑定士Qの短篇集 2 / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの短編集II (角川文庫)

「また。純粋すぎるよ。世のなか善意を理解できる人ばかりじゃないんだよ。だからこそ……」
「何?」
「パートナーが必要だろ。僕はそう思ってるけど」

万能鑑定士Qの短篇集、2冊目。

今回は連作短編ではなく、普通の短篇集。
印象に残った話は、「雨森恋華の出所」と「チェリー・ブロッサムの憂鬱」。

莉子のおかげか、恋華はいい方向に変わりましたね。
やってることは相変わらず詐欺だけど、シロサギからクロサギに変わった感じかな。
完全に足を洗ってはないけど、これなら大丈夫と感じさせるお話でした。

「チェリー・ブロッサムの憂鬱」の莉子の行動力には驚かされた。
なにしろ、事件を解決しようとする動機が、小笠原とデートするため。

前の巻から、さらに二人の仲が進展してるじゃないですか。
他のエピソードでも、警察で捜査を断られた人に小笠原を紹介していたり、彼に対する信頼度がすごく上がってるのが伺えましたけど、まさかここまで距離が縮んでると思わなかった。

それでも、正式に付き合ってるかわからないあたりは二人らしいなって感じ。
もうさっさと告白して欲しいです。

次回は、万能鑑定士シリーズではなく、特等添乗員シリーズ。
久ぶりの絢奈の活躍が楽しみです。

万能鑑定士Qの短篇集 1 / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの短編集I (角川文庫)

「いったとおりだろ。彼は有望な記者さ。きみの心もお見通しだったんだよ」

万能鑑定士Qの短篇集です。

連作短編形式の外伝。
とある人気質屋に一ヶ月行くことになった莉子の話。

1話目に小笠原が出てこなかったので、恋愛関係は進展なしかとおもいきや、2話目に登場してからは怒涛の小笠原押しの展開に。
駒澤さんのおかげもあってか、二人の仲が一気に進展してびっくり。

小笠原のかつての恋人が登場し、二人の仲を見せられた莉子が思いのほか動揺し嫉妬するところはニヤニヤしてしまった。
あれだけ一緒にいたのに、小笠原のことを意外と知らないと気づいたりして、莉子にとっていいクスリになったと思うエピソードが多かったですね。
小笠原が頼れる男だといまさらながら気づいた莉子。
ようやく、二人の仲が進展し始めて良かった。

普段と違った、この連作短編形式もなかなかいいですね。

ふたりの距離の概算 / 米澤穂信

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

「……触れたくない話題があって、それを連想させる物が目の前にあったとき、どうするかは難しいな」

角川文庫の新刊から古典部シリーズ最新刊『ふたりの距離の概算』です。

2年生になって新入生を迎える立場になった古典部のメンバー。
古典部に新入生の大日向さん仮入部することになり、仲良く過ごしていたのだが、ある日突然、彼女は古典部には入らないと言い残し去ってしまう。
彼女の心変わりの理由はなんなのか…。


省エネを信条に掲げていた奉太郎でしたが、この一年で大分変化があったんだとわかる一冊でした。
なにより、マラソン大会中に推理とか驚きを隠せない。
それだけ、えるのことが奉太郎の中で大きな存在になったんだと実感。
誕生日で話題を逸らそうと頑張る姿は微笑ましかった。

作中では少ししか触れられなかったですが、ついに里志と摩耶花が付き合うことになって嬉しかった。
摩耶花おめでとう。
土日スケジュールを埋められてしまうのは今まで引っ張った分しょうがないよね。


それにしても、奉太郎の本気の推理力は凄い。
あそこまでも何もかもが見破ってしまうと、凄いを通り越して怖く感じてしまう。
最後に友人の名前まで推理していたけど、もしあれまで当たっていたら…。

大日向さんの件は残念だったけど、いつか分かり合える日がくるといいな。
ほろ苦いラストでしたが、こういうのもたまにはいいですね。

特等添乗員αの難事件 II / 松岡圭祐

特等添乗員αの難事件II (角川文庫)

「わたしも心配してない。絢奈がしくじるはずがないし」

万能鑑定士の姉妹シリーズと始まった本シリーズの2冊目。
角川文庫の新刊から『特等添乗員αの難事件』の2巻です。

2巻も面白かった。
万能鑑定士シリーズよりも好きかも。

水平思考の『ラテラル・シンキング』を覚え、添乗員に向けられる様々な難題を
次から次へとあっさりと解決していく浅倉絢奈でしたが、彼女らしくないミスをしでかしてしまう。

まだまだ水平思考も自由自在に使いこなせかったようですが、能登先生から新たなアドバイスがまた素晴らしい。

「疑問が頭に浮かんだとき、まずそれを文章化します。そのうえで『なぜ』もしくは『どうして』を『何のために』と置き換えてください」

ロジカルシンキングでは「なぜなぜ」を繰り返すことを教わったけど、水平思考では違うみたい。
たしかに『何のために』という方が、他者の視点で考えることができ、より本質を掴み取れる気がする。

社長が考えた無茶な問題に対する答えは驚いた。
確かにあれならできるけど、あんなの普通の思考じゃ思いつかない。
水平思考の凄さを再実感。


そして壱条家へ招待されたものの、住む世界が違うことを実感してしまう絢奈。
恋の仲が危ぶまれて焦る壱条さんに対するアドバイスも的確。

能登先生すごい。ふたりともいい師を持って羨ましい。
万能鑑定士シリーズにはいない、この人がこのシリーズの魅力のひとつだと思う。

莉子と小笠原とは正反対に二人の仲が急速に進展するのは面白い。
なんかもう結婚しそうなんですけど…。

そして、今回のメインはなんといっても、浅倉姉妹の活躍。
二人で協力して、困難に立ち向かっていく姿が良かった。

次はまた万能鑑定士に戻るのかな。

万能鑑定士Qの推理劇II / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの推理劇II (角川文庫)

「大人って案外、頼りになるものよ。」

万能鑑定士Qの推理劇の2巻です。
映画化決定おめでとうございます。

今回は古書に隠された謎を追う話。

最初は馬鹿にされても、その知性と情熱で信頼を勝ち得ていく展開はいつみても気持ちがいい。

クライアントへの思い入れがいつもよりも強かったせいで、莉子の行動に焦りが見え隠れしてハラハラしたけど、いつものように周りの助けを借りながら、真相に辿りく。
だけど今回の結末はちょっと悲しかった。

変わってしまうものがあるけど、変わらないものもあると思う。
莉子が築いてきた多くの人からの信頼とか。

それにしても、今回の小笠原は出番が少ない割にいいところ持っていった。
その勢いで莉子との仲も進展させて欲しい。

遠まわりする雛 / 米澤穂信

遠まわりする雛 (角川文庫)

「それなら、千反田。何か状況を一つ出してみろ。そう簡単に理屈をくっつけるなんてできないと証明してやる」

氷菓』アニメ化記念、再読四冊目。
古典部シリーズの4作目『遠まわりする雛』です。

表題作を含む、7編からなる短篇集。
文化祭前の話が3編、以降の話が4編となってます。

短篇集だけあって、日常の謎を存分に楽しめる内容でした。
どの話も面白いけど、そのなかでも好きなのは、『心あたりのある者は』と『遠まわりする雛』の2編。

前者は、たったひとつの校内放送から当初の目的を忘れるくらい熱中してしまう、奉太郎と千反田がいい。
あまりにも仲が良すぎて、ふたりの姿を想像するとなんかにやけてしまう。

遠まわりする雛では奉太郎と千反田の関係がこの一年で大分変化したのがわかって良かった。
奉太郎自身、ようやく自身の気持ちに気づいたらしく、なんだかにやにやしてしまいます。

里志と摩耶花、奉太郎と千反田のこれからの関係を見守りたくなる一冊でした。

クドリャフカの順番 / 米澤穂信

クドリャフカの順番 (角川文庫)

「自分に自信があるときは、期待なんて言葉を出しちゃいけない」

氷菓』アニメ化記念、再読三冊目。
古典部シリーズの3作目『クドリャフカの順番』です。

刷りすぎてしまった「氷菓」を売り切るために、古典部のメンバーが奮闘する話。
再読して改めて思いましたけど、古典部シリーズは巻が進むにつれて面白くなっていきますね。

本作は語り手が奉太郎から、古典部の4人に広がったおかげで、千反田、摩耶花、里志の行動原理がより深くつかむことが出来て面白かった。
文化祭という舞台にも関わらず、溢れ出る好奇心を抑えて頑張るえる嬢は可愛かった。
それでもいつにも増して「わたし、気になります」が多かった気がする。

それにしても奉太郎はどんだけ、千反田の好奇心が爆発してしまうことを恐れてるんだ。
「猫を殺す悪魔の感情」とまで表現する奉太郎には笑ってしまった。


かねてから、自分が運がよいから推理できるといっていた奉太郎ですが、今回はまさにそれを実証したような感じでした。
「小麦粉」、「夕べには骸に」のふたつはまさに古典部のピンチを救ったと言っても過言じゃない。
わらしべプロトコルが奇跡すぎた。
そのおかげか、安楽椅子探偵のお手本というくらい、今回は腰が重かったのに、あっさりと十文字事件の真相に辿りつけてしまったのは、見事という他ない。